がんの放射線治療と新型コロナウイルスの重症化
Q.質問
脳転移や骨転移の治療で放射線治療をしています。何か注意することは何がありますか?また、過去に放射線治療を受けたことが、新型コロナウイルスの重症化に影響することはありますか?
A.答え
放射線治療の目的、方法、予定について、担当医と話し合ってみましょう。治療の必要性とリスクについて十分な検討の上、最適な方法が提案されます。
一般的な通院や待合室での留意事項に加えて、放射線治療に関する注意点は特にないと考えられますが、多くの医療機関で、待合室の配置や予約の方法、マスクやアルコールによる手指消毒など、感染リスクを減らす取り組みがなされています。
放射線照射の方法や場所などによりますが、感染に対する抵抗力(いわゆる免疫力)が低下するかどうかについては明らかでなく、重症化のリスクについてはデータが十分ではありません。
放射線治療の影響に加え、がんの病状、同時に行われているほかの治療(がん薬物療法、手術療法、がん以外の併存疾患への治療)、ほかの病気の有無などによって、重症化のリスクが異なります。
過去に受けた放射線治療の影響については、身体や臓器機能への障害の程度にもよりますが、一般的にはあまり問題がないと考えられています。
肺への照射や広い範囲への照射を受けた方の場合には、それに伴う放射線肺臓炎や骨髄障害などがある場合にリスクが高くなる可能性があり得ますが、お一人お一人の経過や状況によって大きく異なります。
大切なことは、ご自身の判断だけで治療を中断したり中止したりするのではなく、担当医や医療者、周りの人に相談してみることです。
放射線治療について、わからないことや不安なことがあれば、治療前や治療中だけでなく、治療が終わった後も、放射線治療医を含めて、がん治療の担当医などに相談することができます。
執筆者 | 渡邊 清高 |
公開日 | 2021年7月1日 |
文書番号 | gw0151 |
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