家族が亡くなり苦しい日々が続いている方へ

家族が亡くなり苦しい日々が続いている方へ

Q.質問
在宅療養を続けてきた家族を先日看取りました。亡くなってしばらくは葬儀などで慌ただしく、実感がもてなかったのですが、疲れているはずなのに眠れなくなり、悲しみが日に日に膨らんできて、毎日がつらいです。この気持ちとどう向き合えばよいでしょうか。

A.答え
悲しみと向き合うつらさは遺された人の多くが経験されます。無理は禁物です。

大切な人を失ったご家族の悲しみは、たいていの場合すぐに拭いきれるものではありません。さまざまに気持ちが揺れ動くのは自然なことで、しばらくの間続くこともあります。現実の感覚がなくなったように思えたり、悲しみが大きくなったり、疲労感などで体に不調がみられることもあります。

また、大切な人が永遠にいなくなったことで、日々の生活にも変化があるでしょう。悲しみと向き合うつらさは、大切な人を失った誰もが経験することであり、無理は禁物です。

大切な人の喪失を体験することによって起こる、さまざまな心理的・身体的症状を含む情動的(感情的)反応を「グリーフ(悲嘆)」と言います。

グリーフは、身体や感情、認知、精神、行動面に影響を受けることで一身上に現れる、あらゆる「反応」です。不眠やだるさなど、体の不調もグリーフの一つだと考えられます。

ほかにも、身体的な症状として、胸がしめつけられる感じや動悸、息切れ、めまい、食欲低下や吐き気、便秘や下痢、脱力感などを自覚することがあるかもしれません。また、精神的な症状として、集中力の低下、パニック、混乱、怒り、悲しい夢や悪夢などが現れやすいようです。

もしも気になる症状が続くようなら、治療が必要な状態である場合もあるので、医師に相談してみるとよいでしょう。故人がこれまで診療を受けていた在宅医や、がん患者さん・ご家族の心の支援を専門にする医師(精神腫瘍科、精神神経科、心療内科など)や緩和ケア医、心理士などに相談することができます。

遺された親しい人同士の語らいや、同じ想いを抱きながら過ごした方からのメッセージが心を軽くしてくれることもあります。無理のないペースで、少しずつ日常生活の変化に対応していけるとよいと思います。


執筆者渡邊 清高
公開日2021年7月1日
文書番号gw0142

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