バルーンカテーテル(膀胱留置カテーテル)

バルーンカテーテル(膀胱留置カテーテル)

Q.質問
尿が出なくなり、膀胱に管(バルーンカテーテル)を入れて数か月になります。いまだに馴染むことができず、とても不快です。試しに抜いてみると尿が出なくなってしまい、また留置しています。なんとか抜くことはできないのでしょうか?(70 代男性)

A.答え
バルーンカテーテルとは、カテーテルの先端のバルーン(風船)を膀胱内で膨らまし、カテーテルを長く留置し、持続的に尿を外に出す装置です。

長い間バルーンカテーテルを留置することは、ご本人の生活の質(QOL) を著しく低下させ、さらに尿路感染症のリスクもありますので、積極的には推奨できませんが、おしっこの都度、尿道に自分で管を入れる自己導尿が困難な患者さんでも、確実に尿を体外に出せる方法です。

カテーテルは通常尿道から入れます。入れるときは違和感が強く、痛みを感じることもあり、とくに交換時に苦痛を伴うことが多いです。またカテーテルは尿を溜めるためのバックが付いており、自力で移動できる人はカテーテル(管)に引っかかり転倒してしまうこともあります。

カテーテルの留置を開始すると、膀胱が自力で収縮することなく尿がカテーテルから外に出て行くため、膀胱機能の回復は期待できなくなってしまいます。そのため、自己導尿が可能な患者さんには推奨しません。

長期のカテーテルの留置を避けるために、以下の方法もあります。自己導尿ができる方向けに、外出時、通勤・通学時、飲食や多量の飲水後、夜間多尿、トイレの設備の場合など間歇導尿で尿の始末を十分にできない時のために、一時的にバルーン留置をすることが可能な製品が出ています。特に、残尿を有する方の尿路管理の方法として有用な、自己導尿と一時的バルーン留置可能なハイブリッド型の仕組みです。
また手術や治療のために、一時的に、バルーン型の留置カテーテルを入れた方も、留置カテーテルなしでの家での日常の暮らしのため、膀胱訓練というおしっこを出す訓練が有効です。時間を区切ってバルーンの栓を止めて、膀胱に尿をため、決められた時間にだけ排尿できる様にする練習です。バルーンカテーテルの留置を極力避けて、日常の暮らしを楽にするためにお医者さんや、訪問看護の専門家と相談するのが大事でしょう。

それでも自己や介助者による導尿が困難な患者さんには、バルーンカテーテルの導入が必要となる場合も出てきます。その場合、カテーテルを長期間留置していると次のような問題が出てきます。

(1)尿路感染症:カテーテル留置期間が長いほど感染リスクは増加します。尿路感染症は敗血症 (全身の血液に菌が散らばってしまうこと)に進むリスクが高いと言われていますので、器具の衛生管理や、尿の逆流防止などに注意が必要です。

(2)血尿:膀胱や前立腺がカテーテルで傷つけられると、そこから出血する場合があります。出血が多量な場合や血が凝固した場合は入院が必要になることもあります。

(3)尿道の外傷:カテーテルを挿入する際に尿道を傷つけてしまうことがあります。このほか、膀胱結石や耐性菌などのリスクも考慮する必要があります。

尿路感染が疑われる発熱や、カテーテルの脱落、器具からの尿漏れ、膀胱結石などのトラブルが起きた際に、相談できる泌尿器科医、かかりつけ医など医療機関の存在が必須です。訪問看護、訪問介護の助けも得られるようにしておくとよいでしょう。

執筆者児玉 龍彦
公開日2022年3月22日
文書番号gw0181

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