女性の夜間頻尿
Q.質問
夜間に頻回にトイレに行き(夜間頻尿)困っています。在宅でいろいろ病状の波があり、10年ほど薬を飲み続けてきたため、体力が落ちてきています。一度入眠した後、夜中から朝に5回ほど目が覚めてトイレに行きます。最後のほうではあまり尿は出ません。外来の予定があると、尿の回数が増えるような感じがあります。(60代女性)
A.答え
女性の在宅ケアでも、男性と同じように夜間頻尿による寝不足から生活の質(QOL)を悪くしてしまい、さらには、転倒、骨折なども引き起こしてしまう場合もあり、大きな問題となっています。
女性には男性と違い前立腺はないので、原因として多いのは、不安や不眠です。緊張して膀胱の神経が過敏になり、繰り返しトイレに行きたくなる人が多いです。また、膀胱の収縮が悪くて残尿量が多くなり、すぐトイレに行きたくなるという悪循環が起こります。
この場合、男性と同じように膀胱の緊張をなくす薬がよく使われますが、女性の場合、注意が必要です。
女性では、膀胱から出る尿道の長さは3cm程度しかなく、あまり大きな圧をかけなくても尿が出るため、尿漏れが起こりやすくなります。
女性に特徴的なのは、お腹に圧をかけると、尿漏れすることがあることです。膀胱を支えている骨盤の底の筋肉(骨盤底筋)や、尿道を締め付ける筋肉(尿道括約筋)が弱ってしまうことが原因です。この対策としては、骨盤底筋を鍛える体操を行うことや、肥満の人の場合は体重を減らすよう勧めることもあります。
膀胱の緊張を抑える薬を使って、まれに尿がうまく出なくなる(尿閉)ような副作用を起こす場合もあります。
女性の夜間の頻尿は、水分の摂りすぎや、糖尿病、高血圧などで、悪化することもあります。
長期に頻尿がある場合は、泌尿器科医などの専門家と相談し、骨盤底筋の様子や、尿をした後の膀胱の残尿量を測るなどして、きちんとした診断を受け対応策を決めることが重要です。
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2022年3月22日 |
文書番号 | gw0177 |
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