便秘の薬の種類が増えています
Q.質問
処方されている便秘の薬が効かなくなってきました。どうしたらいいでしょう。
A.答え
がんの在宅療養で、しばしば問題となるのは便秘と下痢です。最近、便秘の新しい種類の飲み薬が増え、家での療養の鍵となる快適な便通が可能となりつつあります。
(痛み止めのオピオイド系の薬は便秘を起こします。それに対する対応は次の項目に詳しく述べます → 「Q&A: オピオイド系鎮痛剤による便秘」)
従来は、便秘のお薬というと、便を柔らかくするカマ(酸化マグネシウム)か、腸管の動きを活発にするセンナ(植物の葉や種由来のセンノシド)などの刺激性下剤の2種類が、長年使われてきました。
カマは、ゆっくり効いて比較的副作用は少ないですが、センナなど刺激性下剤はお腹が動き出して効果がわかりやすい特徴があります。しかし、最近の学会のガイドラインでは、刺激性下剤は長期に連用すると耐性ができて効かなくなることが多く、長く続けて使うことを勧めていません。
それに変わって、快適な排便のための新しい便秘の薬が多数出てきています。しかしこれらの効果のある便秘のお薬は、どの程度の量をどのような間隔で使うか、取扱に注意が必要です。一般的に効果が出るまで時間がかかりますが、効き出すと、下痢や水のような便になってしまう場合もあります。
ご本人または責任を持ってケアにあたる人が、便秘の薬を使いすぎて軟便や下痢になったり、足りなくて便秘になったりするということのないように、便の様子と服用量は予め主治医とよく相談しておきましょう。数日から数週間とある程度の期間で様子を見て、最適な薬の量を決めていく場合があります。
便通の話は、病院でもなかなか切り出しにくい話ですが、原因や症状に応じた治療がなされるようになってきています。主治医ともよく相談して、最適な方法を選んでいくと快適な便通を得ることが可能になる場合も増えています。訪問看護の方の中には排泄ケアのエキスパートの方も多く、薬が効きにくい場合に摘便や浣腸という対応を適切におこなってくださる方もいます。専門家と良く相談されることをお薦めします。
専門家向けですが、消化器病学会関連研究会の2017年版のガイドラインとその解説書が出版されています。
→ 慢性便秘症診療ガイドライン2017 2017年10月 南江堂
→ 中島淳編集 便秘症の診かたと治し方 2019年12月 南江堂
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2022年5月25日 |
文書番号 | gw0187 |
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