トイレの整備
Q.質問
家での療養で、一人でトイレを使えるように改造する場合のポイントを教えてください
A.答え
がんの家での療養ではトイレをどうするかが大きな問題となる場合があります。
トイレを使うのが難しくなるにつれて、排泄の環境は ①通常のトイレ、②ポータブルトイレ、③尿便器、④パッド、⑤オムツによる対応に変化していきます。病院で手術の後では、術直後は膀胱にカテーテル(くだ)を入れ、ベッド上での排尿から、次には介助を得ながらトイレへ行く順番になります。一方、病状の進展で体力が低下していく場合には上の①から⑤と進んでいきます。病状が変化しているときは、こまめに評価して方法を変えます。
トイレの扉が内開きの場合は引き戸にし、和式は洋式に変え、姿勢の保持や立ち上がりにくい場合は、手すりの設置も検討しましょう。トイレの中では、前に寄りかかる支持器具が排泄を楽にします。
起き上がることができても歩いていくのが難しい場合は、ベッドの脇にポータブルトイレを置くことも検討しましょう。そのための場所の確保や、消臭対策などが必要です。
起き上がってトイレを使うことが難しい場合は、防水シートを敷いたベッドの上で便器を用いて排泄します。排便時は上半身を30−45度傾けられるベッドですと楽です。ベッド上で使うには男性用、女性用に便器が開発されており、安心度、好みに合わせて選びます。尿を吸引して溜めるタイプもあります。
本人がズボンやパンツの着脱ができるか、排泄物を処理できるかにより必要な介助が異なります。例えば昼間は介助でトイレにし、夜はベッド上で便器にする、などの場合もあります。排泄時はバスタオルをかけたり、カーテンを引いたりして配慮します。
がんの療養中には、排泄能力は思わぬことで変わり、排泄障害は一時的な場合もあります。逆に、障害の進行によって、トイレを改修したり、ポータブルトイレを買ったりしても、すぐベッド上の排泄になりあまり使用しない場合もあります。大掛かりな工事や備品の購入は、本人や家族の生活環境に負担とならないよう検討しましょう。排泄の介助や清潔操作は労力もかかり、難しい場合は、デイケア・ディサービス、ショートステイの施設との連携も重要になります。自治体の支援窓口、主治医、看護師、介護職の専門家ともよく相談しましょう。
下着、パッド、オムツについては次の項目を → 下着とオムツやパッドが進歩しています
尿意・便意がわかりにくいときのリハビリテーションについては次の項目を → 尿意や便意のリハビリテーション
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執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2022年5月25日 |
文書番号 | gw0188 |
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