最期のときに家族ができること
Q.質問
在宅で療養していた夫が、10日ほど前から自分で起き上がれなくなり、話しかけても返事がなく、呼吸も不規則になっている気がします。最期のときが近づいているのでしょうか。家族には今何ができるでしょうか。
A.答え
最期まで「あなたのそばにいる」ことをさまざまな形で伝えていきましょう。
やがて訪れると理解はしていても、いよいよそのときが迫ってくると、平常心でいられなかったり、ご本人にどう接したらよいか、わからなくなることがあるかもしれません。
しかし、ご本人と一緒に、ここまで大きな山を何度も乗り越えてきたのです。今までやってくることができたご自分を信じ、ご本人の旅立ちに臨みましょう。
今できることは確かに限られているかもしれませんが、大切なことは、最期まで「あなたのそばにいる」ことをご本人に伝え続けることです。本人の反応がなくなってきていたとしても、何もわからなくなっているわけではありません。
会話のやりとりを楽しむことが難しくても、静かに寄り添ったり、やさしく体に触れたりすることで、ご本人にご家族の気持ちが伝わることもあります。
最期の日々を、ご本人とご家族のお互いの想いに寄り添いながら過ごすことができるのが、在宅療養のよい点です。会話が難しくなっても、ご本人にご家族の声は届いていますから、やさしく、ゆっくりと語りかけることを続けていくとよいと思います。
ご家族の声にご本人も安心されるでしょう。話しかける内容は、楽しかった思い出や感謝の気持ち、今日の出来事など、どんなことでも構いません。もしも過去にわだかまりがあるとしたら、今が最後の仲直りのときと思って、あまり重くならない程度にそれを話題にしてもよいと思います。
また、ご家族の未来の話なども、あえて控える必要はありません。ご家族の幸せなイメージはご本人の安心や希望につながります。あまり騒がしい環境は好ましくありませんが、誰かがそばにいるという気配は、死への恐怖や孤独感を和らげる効果があるそうです。ご本人を中心としてご家族がベッドの傍らに集まり、最期の日々を過ごしていただければと思います。
最期まで痛みなく過ごしたい、ご家族に見守られて逝きたいといった、在宅での療養を選んだご本人の希望がかなえられるように、ご家族で応援していきましょう。
執筆者 | 渡邊 清高 |
公開日 | 2021年7月1日 |
文書番号 | gw0136 |
【関連記事】
【関連キーワード】