本人が死について話す時の受け答え方
Q.質問
在宅療養中の父が、このところ死についての話題や、自分の死後のことばかり話します。父が死について話し出すと、何と受け答えしたらよいのかわからず、話題を別の方向へもっていきたくなります。どう答えるべきなのでしょうか。
A.答え
ご本人が選ぶ話題を尊重し、「うまく答えよう」とせず、ありのままに耳を傾けてみてください。
ご本人との会話で、急に死の話題が出たりすると、ドキッとして答えに困ることがあると思います。時には、ご本人からつらさや死に対する不安や恐怖、孤独感などについて吐露されることもあるかもしれません。
しかし、そんなときでも、できるだけご本人が選ぶ話題を尊重して、聞き役に回りましょう。相づちを打ったり、何を思ってその言葉を発したのかを穏やかに尋ねたりするなどして、「しっかり受けとめている」ということが伝わると、ご本人も安心されると思います。
また、何気ない会話のなかに本心が語られることもあるので、どんな話題でもまずは慌てず、別の話題でごまかしたりせずに、静かに耳を傾けてみるようにするのがよいと思います。
また、自らの死後のことについて、できるうちにきちんと整理しておきたい、というお考えが強いなら、その気持ちを尊重し、手助けして差し上げるのがよいと思います。
ご家族として、死にまつわる話題について、どう答えたらよいのか悩んだり考えをめぐらせることはむしろ自然なことです。ですから、「そんな話しないでよ」「そんな弱気でどうするの」などと言って言葉を遮ったり、話そうとすることを否定したりせずに、まずはご本人の言葉に耳を傾けてみてください。
「うまく答えよう」とする必要はありません。相手の不安や想いを「わかりたい」と思う気持ちを大切にしてください。また、患者さんご本人の体調の変化とともに、話す内容や、家族にしてほしいことなどは変わっていきます。
その時々の気持ちの変化を適切にキャッチしてよいケアに結びつけることができたとき、家族間の絆をさらに深めることができます。本人の願う在宅での療養になっているか、折りに触れ話し合い、ご本人の気持ちを汲み取るように心がけていきましょう。
執筆者 | 渡邊 清高 |
公開日 | 2021年7月1日 |
文書番号 | gw0109 |
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