重粒子線治療の「先進医療」での自己負担金額
Q.質問
重粒子線治療では、医療保険の適応になっていないがんでも、自分で314万円程払えば、「先進医療」という仕組みで治療を受けられると聞きました。「先進医療」制度とはどんなもので、自己負担分はどうなりますか。(40代女性)
A.答え
日本の国民皆保険は、公的医療保険の費用を国民が負担し、全国民が平等に基本的な診療を受けられる優れた制度です。在宅療養も、外来診療も、入院治療も、医療保険の対象となる診療は「保険診療」と呼ばれ、費用の3割など一部が自己負担となります。他方、医療保険が適応されない治療法などは「自由診療」と呼ばれ、費用全額が自己負担となります。
「先進医療」制度とは、この中間にあたる、「保険診療が妥当か評価中の先進的な医療技術」について、厚生労働大臣が指定して自由診療と保険診療の併用を認められるようにしたものです。重粒子線治療に関しては、下記のがんの場合に、重粒子線治療に関わる費用だけは自己負担とし、約314万円 (施設ごとにやや違います)が請求されます。それ以外の、在宅、外来、入院の費用は医療保険の適応を受けられることになります。
肺がん
食道がん
肝臓がん(4㎝未満)
婦人科がん
腎臓がん
転移性腫瘍 肺、肝臓、リンパ節への少数の転移
例えば、公的医療保険による自己負担分3割の方が、重粒子線の先進医療を受けた場合の費用負担は下の図(群馬県ホームページ「重粒子線治療の推進について」からの引用)のようになります。
さらにがんの種類や広がりによっては、重粒子線治療のメリットとデメリット、すなわち治療の効果や副作用がよくわかっていないため、重粒子線治療について臨床試験をおこなっている場合があります
このような臨床試験の場合は、リスクがあるため、患者さんからの試験参加の同意がなされた場合は、入院費用や検査費用は医療保険を適応し、重粒子線治療は施設の負担で行う場合もあります。
「先進医療」「臨床試験」いずれの場合も、主治医と、重粒子線治療の専門家のセカンド オピニオンをもとによく相談され、ご自分の希望を考えて判断されることが大事です。
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2022年11月10日 |
文書番号 | gw0221 |
【関連ページ】
【関連キーワード】