最期のときを過ごす場が本当に自宅でよいのか不安

最期のときを過ごす場が本当に自宅でよいのか不安

Q.質問
最期のときを過ごす場所として、本人とも相談して住み慣れた自宅を選びましたが、医療やケアを考えたときに自宅でよかったのか、ときどき不安になります。このまま自宅で過ごすことができるでしょうか。

A.答え
ご自宅や住み慣れた場所で安心して過ごすために、家族や在宅支援チームができることがあります。

最期のときをどこで過ごすかを考えたとき、住み慣れた自宅、介護福祉施設、専門医療を提供している病院を比べてみると、医療やケアの内容において、必ずしも病院のほうがよいとは限りません。というのは、受けられる医療やケアの内容に、実際にはあまり差がないことが多いためです。

病院は機器や設備が整い、医療スタッフも常時いるので安心かもしれませんが、この時期に必要とされるケアは、痛みやつらさなどの苦痛を取り除くことや、日常生活のケアが中心となります。

これらの多くは在宅でも十分行えるものです。むしろ、住み慣れた自宅や生活環境の充実した療養施設で過ごしたほうが、ご本人もご家族もリラックスできるかもしれません。

さらにQOL(生活の質)や自分らしい過ごし方などを第一に考えるのであれば、在宅のほうがよりよい療養場所となる可能性もあります。面会時間や人数の制限もありませんし、家で過ごすことで食欲が増したり、体が動かせるようになったりすることも珍しくないようです。

とはいえ、ご家庭によって、環境の制約や家族のサポート体制など、さまざまな事情があります。一番大切なのはご本人とご家族の気持ちや希望、意向です。どれが正しいとか、向いているという「正解」は、ないと考えたほうがよく、その時々の状況に応じた「最適解」を、その都度考えていく、というくらいの心積もりで臨むのがよいと思います。

一度決めたことを見直したり、改めて話し合ったりすることでよい方法を見つけられることもあります。

大切な人の人生の総仕上げの時期に、一緒に暮らしてきた場所や安心して過ごせる環境でじっくり向き合う経験は、病院では得られない思い出や充足感を双方にもたらすこともあります。

最初は介護に自信がないと話していたご家族が、患者さんの見せる笑顔や安心した表情に励まされ、在宅でのケアを続けていく気持ちになることも多いようです。もちろん、「やっぱり病院で」と揺れ動いたり、迷ったりすることもあると思います。そのようなときを支援していくのが、在宅医や訪問看護師、ケアマネジャーで構成される在宅支援チームです。

ご本人とご家族、周りの方、そして在宅支援チームが一緒になって歩んでいくことが、穏やかな日々を過ごすときの助けになるはずです。


執筆者渡邊 清高
公開日2021年7月1日
文書番号gw0116

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