がんが進行した時の排泄ケアのあり方

がんが進行した時の排泄ケアのあり方

Q.質問
がんが進行した時の排泄ケアの問題への対応を教えてください

A.答え
がんの進行に伴い、さまざまな要因により便秘、下痢、排尿障害、便失禁、尿失禁が起こります。

ご本人が「下の世話をしてもらうのがつらい」と感じ「家族の手を煩わさないように対処している」場合も多いです。排泄の介助をしてもらうことが大きな負担と感じると、家族や周囲の人への遠慮につながります。

排泄の介助の方法はいろいろあります。家での療養といっても家族に限るのでなく、訪問診療、訪問看護、介護は助けになりますので、専門家と相談してケア支援を積極的に受けましょう。


また柔軟に考えて、必要な時にはデイケアに送迎してもらいお風呂に入れていただいて清潔を保ったり、ある期間はグループホームで生活していただく可能性も検討されると良いでしょう。

病状に伴って排泄ケアのニーズは大きく変わります。特に、進行期になりますと変化が急なことも多く、コストの高い大規模なトイレの改修や、ポータブルトイレの購入にあたっては、主治医や訪問看護や、ケアマネジャーなどの専門の方とよく相談されるのが有効でしょう。

介護保険において、40歳以上、65歳未満の方には、主治医の診断で介護保険による支援がつく場合があります。当初は「末期がん」という診断名を必要としておりましたが、厚労省の平成31年の事務連絡により「がんにより回復しない症状があり介護が必要」であれば「末期がん」の記載がなくても支援を受けられます。年齢に関係なく回復する見込みのある排泄障害は治療の対象として医療保険が適用される場合があります。

なお、自治体や地域医師会ごとに運用が異なっていることがあり、排泄ケアに対する公的扶助の全国的な充実が望まれています。

がんの進行する不安と葛藤の募る中で、排泄の困難は、ご本人と周りの方に大きな葛藤も生み出します。家族の方が関わる場合、ご本人を責めることはせず、排泄が「楽にできた」「安心してできた」という成功体験を大切に、ケアの工夫や気兼ねなく行えるよう声がけなど配慮を心がけてみてください。

執筆者児玉 龍彦
公開日2022年5月25日
文書番号gw0192

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