オピオイド系鎮痛剤による便秘

オピオイド系鎮痛剤による便秘

Q.質問
オピオイド系の鎮痛剤(医療用麻薬)を始めたら便秘がひどくなりました。どのようにすればよいでしょうか?

A.答え
がんによる痛みなどによる治療としてオピオイド(モルヒネ様の薬剤、医療用麻薬)または関連の薬を用いますと40~80%の方に便秘症が誘発されます。オピオイドまたは関連の薬は、がんによる痛みへの対応によく使われますが、便秘を起こすことが知られ、本来持っている作用と考えられています。また量が少なくても起こりやすく、吐き気などと違ってオピオイド系の薬を使っている間、ずっと起こり得ます。

主治医や専門家から、「この痛み止めを飲み出してから便秘になりましたか?」と聞かれて、初めて原因に気づく方も多いです。

オピオイド系の薬は、脳の神経の細胞に働くのですが、腸管の細胞にも効いて腸の動きを抑えてしまうという副作用があります。そこで脳に入りにくく腸管で拮抗して便秘を防ぐ薬が開発されました。脳ではオピオイドが効くので鎮痛効果はそのままで、便秘にならないようにしてくれます。

この便秘の薬の副作用は、腸の動きを高めすぎてかえって下痢になることです。がんで消化管が通りにくくなっている方や腸閉塞の方では、注意が必要です。がんの鎮痛薬を処方されている場合、主治医に相談するとよいでしょう。

執筆者児玉 龍彦
公開日2022年5月25日
文書番号gw0191

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