医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)について
Q.質問
在宅療養中の母は、痛みであまり眠れない日が続き、医師に相談して痛み止めを使うことになりました。ただ、痛みを和らげるのに医療用麻薬が使われると聞き、躊躇しています。医療用といっても、繰り返し使うことで麻薬中毒になったりすることはないのでしょうか。
A.答え
適切に使用すれば、医療用麻薬によって中毒が起こることはありません。
医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)は、中枢神経や末梢神経に働きかけて痛みを抑える薬です。麻薬を使用すると中毒(依存症)になるのではないかといった誤解がありますが、医師の管理のもとでがんの痛みに対して適切に使用する分には、中毒が起こる心配はありません。
もし医療用麻薬に対する不安や疑問がある場合は、医師や薬剤師、看護師に尋ねてみましょう。
一方で、吐き気・便秘・眠気などの副作用が起こる場合があります。 痛みを強力に抑える作用の一方で、こうした症状が患者さんにとってつらさの原因になることもあります。そのため早めにこれらの副作用に対して薬を使ったり、予防のための薬を事前に使うことで、痛みを取り除く効果をしっかり得ることができるようになっています。
薬が飲めない時や、むせやすい時、吐き気が強い時などには貼付剤や坐薬を使うなどの方法もあり、痛みの程度や性質、副作用の可能性などさまざま面から適切な医療用麻薬を選んで使用することもできるようになってきています。
副作用が怖いからと医療用麻薬の使用を敬遠する必要はありません。 痛みを我慢したり、あるいは痛み止めの薬の副作用のために生活の質(QOL)が下がることのないよう、在宅支援チームがサポートしていきますから安心してください。
また、医療用麻薬について、使用すると死期が早まるのではないかと心配される方もいますが、そういったことはなく、むしろ痛みが軽減されることで食欲が増したり、周りのことに対してより積極的になれたり、よく眠れるようになるなど、有益な結果を得られることが多いのです。
痛みのコントロールは、次の3つの目標を目安として行われます。実際には在宅支援チームがご本人・ご家族とともに、日々の痛みやつらさの程度を一緒に確認しながら、ちょうどよい方法に向けて話し合い、調整していきます。
(1)夜間の睡眠時間を痛みによって妨げられないようにする
(2)安静にしているとき痛みがないようにする
(3)立ち上がったときや体を動かしたときの痛みがないようにする
痛みはQOLを大きく下げる要因になりえます。痛みを我慢する必要はありませんから、遠慮することなく在宅支援チームに相談してください。
執筆者 | 渡邊 清高 |
公開日 | 2021年7月1日 |
文書番号 | gw0122 |
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