患者本人にどんな言葉をかけたらいいのか
Q.質問
妻ががんを患い、在宅療養へ移行することになりました。これ以上積極的な治療を受けないと本人が決めましたが、もともと口数が少ないうえ、やはりこのところ落ち込みがちで塞いでいます。明るく支えていきたいと思いますが、どんな言葉をかけたらよいのか…正直、自信がありません。
A.答え
無理に会話を取り繕わず、日常的なかかわりを通して気遣いや想いを伝えていきましょう。
在宅療養を前にご本人が不安になったり、気持ちをうまく言葉にできず口数が減ったりすることは無理のないことです。そして、そんな姿を目にしたご家族も、何と声をかけてよいのかわからなくなることがあると思います。
「何か言葉を見つけなくては」と焦るあまり、つらくなったり不安になったりすることもあるかもしれません。
そうしたとき、無理に会話を取り繕う必要はありません。話す・聞くだけでなく、ご家族がご本人の「そばにいること」に十分大きな意味があります。 想いを伝えたいのにうまく伝わらない姿や、初めての在宅療養に、ご家族としても戸惑いや不安を抱えている姿もまた、一つのコミュニケーションとして、きっと想いはご本人に伝わると思います。
「何か言わなきゃ」「何かしてあげなきゃ」と考えすぎるよりも、できるだけこれまで通りのご本人とご家族の「日常」を大切にして過ごしていくのがよいと思います。
何気ない日常のかかわりを通してご本人の声に耳を傾け、想いを受けとめ寄り添う姿勢をもっていれば、あなたの思いやりは十分伝わるはずです。手を握るなどの触れ合いも大切なコミュニケーションになります。
気遣いをあらわすコミュニケーションのとり方として、以下のいくつかの項目が参考になるかもしれません。穏やかな療養生活を送るためのヒントとして活用してみてください。
あまり堅苦しく考えず、普段の何気ない会話や冗談をやりとりするので十分です。きっとそれが一番長続きするでしょう。
照れたり恥ずかしがったりせず、手を握ったりさすったり、抱きしめたりしてみましょう。一緒に座っているだけでも、多くの会話を交わしたのと同じように支えになることもあります。
生活のなかにちょっとした笑いやユーモアを積極的に取り入れ、笑顔で過ごしたいものです。笑いにはリラックス効果や気持ちを前向きにする力があります。困難な状況でも、小さな笑いが心をほぐし、助けになってくれることがあります。
以前の家族旅行のこと、好きな音楽や映画、スポーツや本の話題など、気さくに語り合うのもよいですね。
本人が友人と連絡をとったり、訪問したり外出したりするのを手助けするのもよいですね。
執筆者 | 渡邊 清高 |
公開日 | 2021年7月1日 |
文書番号 | gw0108 |
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