病院と家での排泄方法はどう変わるか?
Q.質問
病院と家での排便と排尿の方法はどう変わるのでしょうか
A.答え
排泄の介助が必要な場合、病院と家での対応は大きく変わります。病院は、健康を回復することを目標とする「非日常」の世界ですが、家での生活は健康であるなしに関わらず、「日常」の生活の場です。
病院には、医師がおり、看護のスタッフがいます。栄養士も薬剤師もいます。しかし、家では、家族や、知人が主体で、訪問看護、訪問介護は公的な支援がどの程度得られるかで大きく変わります。
まず、主治医と相談してなるべく体に入っている管(チューブ)を抜いていくことが大事です。病院では、膀胱のバルーンカテーテル(膀胱留置カテーテル)や、点滴のカテーテルを入れっぱなしのことも多いです。家ではこれらの清潔管理には注意が必要ですが、抜く対応ができるか相談しましょう。
尿閉などで管が残ると、どうしても訪問看護、介護が必要になります。自己導尿の可能性もあります。それに対する主治医の診断書や意見書をもとに、ケアや介護の方針が検討され、公的支援がどこまで受けることができるか調整がなされていきます。
排泄のリハビリテーションで、失われた尿意、便意などを回復する訓練法や、機器も開発されています。こうした訓練も本人の希望が大事です。
家での療養では、薬の飲み方も主治医や薬剤師と相談しなくてはなりません。病院では、排泄の様子が変われば、看護師などがチェックして処方も変わります。家では、様子が変わったらどうするか、難しい問題が起こります。例えば便秘の薬の場合、下痢や便秘の状態に応じて内服の量を調整するなど、本人か家族か介護に関わる人か、ケアを責任持っている人がチェックすることが大事になります。
一人でトイレに行けるかも大きな違いになります。病院では、ベッドの上の排泄も人手がありますので対応できますが、自宅では大変な作業となります。
降りやすいベッドの使用、ポータブルトイレやさまざまな床上での排泄の機器も検討が必要です。長期になる場合はトイレなど設備の改修も重要です。現在の症状が短期的な場合もありますから、大掛かりな工事がかえってご家族の生活を圧迫することがないよう、専門家と良く相談しましょう。
家での療養といっても、デイケアやディサービス、ショートステイなどの活用も、本人の希望を考えながら、検討していくのがよいでしょう。清潔を保つ動作も、自宅のお風呂が難しい場合は、デイケア施設での設備が整ったお風呂などが有効な場合も多いです。
一方、排泄の障害がそれほど重くない場合、家に戻ると、仕事・生活のための外出が増えます。外出先での排泄の管理はとても大きな問題になります。仕事先や出先では排泄困難などを打ち明けにくい場合も多く、迷惑をかけることをさけるため外出しなくなってしまう方も多いようです。今は下着やパッド、オムツなどで尿もれなどに対応した製品が増えてきていますので、いろいろと試して活用してみましょう。
ここではご本人の考え方、希望を尊重することが基本となります。がんの療養中は、排泄の障害も変わりやすく思いがけないことも起こります。主治医、訪問看護、介護の方とも相談しながら、人手や設備に応じた、病院とは違う対応が基本となります。
排泄ケアのための設備、日用品、薬の進歩も大きいです。一方、公的な支援も重要になっています。上手に活用し、ご本人やご家族がともに快適に生活できるよう検討しましょう。
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2022年5月25日 |
文書番号 | gw0186 |
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