治験や臨床試験に参加したい

治験や臨床試験に参加したい

Q.質問
がんの症状が徐々に出てきており、進行していると言われているので心配です。新しい薬の治験が始まったというニュースをメディアでよく耳にします。私も治験や臨床試験に参加して、新しい薬を試してみたいと思っています。アクセスする方法はあるのでしょうか?
A.答え
がんが進行して、症状が現れているとのこと、ご心配なことと思います。

治験・臨床試験とは、新しい薬の候補や薬剤の組み合わせによる有効性や安全性を評価するために行われるものです。評価したい薬や治療法などを、対象の患者さんに行う研究を臨床試験といい、そのうち主に製薬会社によって行われる、薬事承認を目指して行われるものを治験といいます。患者さんにとって期待される効果が実際に得られればよいのですが、一方で思わぬ副作用が起こることもあり、また想定された効果が示されないこともあります。進行がんでは、従来の治療法が有効でない場合、新しい治療法や薬の開発が期待されますが、治験や臨床試験への参加は慎重な判断が必要です。

治験や臨床試験を紹介するサイトはいろいろありますが、信頼度に問題があります。治験や臨床試験の情報は、一般の人にはなかなかアクセスしにくいものでしたが、一般の方向けに治験や臨床試験について分かりやすく説明したり、国内で実施されている治験や臨床試験を検索できるサイトがあり、国立保健医療科学院や国立がん研究センターによってデータが収集され提示されています。

がんの臨床試験を探す(国立がん研究センターがん情報サービス)
臨床研究情報ポータルサイト(国立保健医療科学院)

公的医療保険で行われる遺伝子パネル検査の情報は、全て国立がん研究センターの「C-CAT(がんゲノム情報管理センター)」で総合的に集めて、その結果をもとに、世界の分子標的治療薬と臨床試験や治験の状況ともに、情報を提供する仕組みが作られました。

新しい薬には、遺伝子の変異やバリアントを標的にするものが多く、治験や臨床試験へのアクセスには、あなたのがんの遺伝子情報が鍵となることも多いため、遺伝子パネル検査を受けることが第一歩になります。前述の臨床試験に関する検索システムを含め、多くが専門家向けの情報であり、参加できるための条件など、自分に当てはまるかどうかについてはわかりにくいことが少なくありません。遺伝子パネル検査については、地域ごとのがん相談支援センターで相談を受けられます(→ゲノム医療の相談はどこでできますか?)。がんゲノム医療の「拠点病院・連携病院」(→ゲノム医療の拠点病院・連携病院とは?)で、遺伝子パネル検査を受けてがんの遺伝子の変化に基づき推奨される治療法が検討されます。参加できる可能性のある治験や臨床試験の候補がある場合は「C-CAT」からの情報も含めて、患者さんの臨床情報を加えて、メリットとデメリットを専門家集団であるエキスパートパネルで検討し、推奨するかを決めています(→がんゲノム医療のエキスパートパネルとは?)。治験や臨床試験に参加するために、別の医療機関に紹介されることもあります。参加することのメリットやデメリットについて十分情報を得て、納得した上で判断するようにしましょう。

執筆者児玉 龍彦
公開日2023年1月1日
文書番号gw0226

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