遺伝子パネル検査の費用:公的医療保険が適用される場合
Q.質問
がん遺伝子パネル検査の費用はいくらですか? また、どのような場合に公的医療保険が適用されるのでしょうか?
A.答え
がんの発生のもとになる遺伝子変異に関する研究の成果などをもとに、分子標的治療薬という薬が作られ、近年では、個別のがんの遺伝子の変化(変異やバリアント、といいます)に応じた治療を選択する「ゲノム医療」が進んでいます。人間のゲノムとは約2万個ある遺伝子全体の情報を指す用語です。我が国でも2018年からがんに関係する数百種類の遺伝子の変化を1回の検査でまとめて調べるがん遺伝子プロファイリング検査(遺伝子パネル検査)が承認され、難治がんや希少がん(患者さんが少なく治療開発が進んでいないがんの種類)などで、新しい薬が承認されたり、新しい治療法の治験や臨床試験が積極的になされています(→下記の関連記事を参照)。
公的医療保険の対象となった場合は、遺伝子パネル検査料44万円、評価提供料12万円で、合計56万円の、3割負担で16万8千円、また生検(生体検査)などの組織採取や遺伝カウンセリングを受けた場合はその費用も加わります。ただし、年齢や所得により、高額療養費制度の対象として、その限度額までの支払いで対応できるようになります(2022年10月段階)。
なおがんの遺伝子パネル検査について公的医療保険が適用されるのは次の場合で、ひとり1回限りとされています。
標準治療がない、標準治療が終了または終了する見込みである固形がんの方
原発不明がんの方
希少がんの方
本検査を施行し結果が返却された後にがん薬物療法が実施できると考えられる方
詳細は、主治医の方や、地域ごとにあるがん診療連携拠点病院に設置されているがん相談支援センター(→ゲノム医療の相談はどこでできますか?)に相談してみてください。
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2023年1月1日 |
文書番号 | gw0231 |
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