手術退院後、噛む力が衰えた高齢者の注意点
Q.質問
がんの手術を受けた家族について、退院後は自宅で介護をする予定です。高齢で、手術で体力も落ち、食事がうまく噛めず心配です。家で食事をとることができるように、どのようなサポートがなされるのでしょうか。
A.答え
手術や放射線治療などを受けた後で、体力や気力が落ちていると、食事をとるときに思いがけない問題が起こることがあります。食べもの、唾液などが誤って気道に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と言います。誤嚥を起こしやすいのは食べ始めが多く、特に注意が必要です。
食事を始めるにあたり専門家に相談して、次の点をチェックしてもらうとよいでしょう。
(1)本人の意識がはっきりして、食べる希望があり、意思の疎通が図れるかどうか
(2)誤嚥したものや痰を、自力で吐き出せるかどうか
(3)座った姿勢を保ち、介護者からの食事の介助を受けるときに応えられるかどうか
耳鼻咽喉科やリハビリテーション科の医師、消化器や神経を専門としている医師、言語聴覚士、嚥下に詳しい看護師、嚥下調整食に詳しい栄養士など様々な専門家がいます。
嚥下機能の検査として、専門家の見ているところで、唾液が飲み込めるか、少量の水分が取れるかを繰り返します。誤嚥を疑う場合はより詳細な診察と検査が行われ、食事や姿勢の工夫などの対応が取られます。あまり咳や痰などの自覚症状がないのに、肺炎を繰り返す場合に、誤嚥が起こっていないかを調べるための嚥下機能の検査が行われる場合もあります。
医師による診察、検査に続いて、食べたものを飲み込むための対応方針が決まったら、安全性を確認しながら、徐々にいろいろなものを食べて、希望する食事に丁寧に近づけていきます
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2022年2月15日 |
文書番号 | gw0171 |
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