誤嚥(ごえん)による窒息への対応

誤嚥(ごえん)による窒息への対応

Q.質問
療養中の家族が、食べると ぜろぜろしているようで、誤嚥(ごえん)してものが詰まってしまわないか心配です。万が一、ものが詰まった場合、どうしたらいいでしょうか。

A.答え
ものを飲み込みにくくなった方が家で療養している場合に、誤嚥(ごえん)する可能性があり、間違って気道に入った食べもので息ができなくってしまうと、窒息が起こります。窒息すると数分で命に関わる場合もありますので緊急の助けが必要です。

誤嚥で息が詰まると、激しくむせって咳き込み、呼吸が苦しくなります。顔色が紅潮し、時に紫色になります。親指と人差し指で、のどをつかむようなしぐさをすることがあります。ただ、療養中で体力が弱っていると、咳やむせる反応も弱くなっている場合があり、黙って苦しんでいるように見える場合もあります。

ものが詰まったと思われる場合は、まず声を掛けて呼びかけましょう。窒息の程度が軽い場合は、座っていただき、頭を下げて、背中を手の付け根で叩くことで、むせって出てくる場合もあります。横になっている場合も、なるべく頭が下になるようにして叩いてください。

指でかき出せる場合もあります。この時は、噛まれないようにすることが必要です。入れ歯のある場合は外してあげて、正面から、指にハンカチやガーゼを巻いて、かき出してあげることが有効な場合もあります。

ものが詰まって、言葉も出ず、咳もできず、呼吸ができなくなると思われる場合は、異物除去を行います。異物除去は、可能であれば「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」を優先し、効果がなければ「背部叩打法」を試みます。妊婦や乳児では、腹部突き上げ法は行わず背部叩打法のみ行います。腹部突き上げ法は、腹部から圧迫して、胸の中の圧をあげ、気道から吐き出させようとする方法です。ただ危険性もあり事前に窒息の症状をよく知り、練習しておくことが大事です。ものを詰まらせた方を立たせるか、座らせるかして、後ろ側に周り、片手でげんこつをつくり、反対側の手でその手首をつかみます。握った手で弾みをつけて、みぞおちのあたりを急激に圧迫します。何回か試みます。

もし息の詰まった方が座れない場合は、仰向けにして寝かせ、太ももの上に座り、手のひらをみぞおちに当てて、腹部を圧迫する場合もあります。

腹部突き上げ法は、肋骨を骨折させたり、内臓を傷つけたりする可能性があるため、生命の危険のある方で、話せない、咳ができない、呼吸ができない方への緊急対応の方法です。妊婦や乳児にはすすめられません。下記のサイトに詳しいやり方が出ています。
救急蘇生法 気道異物除去の手順(日本医師会)

反応がない場合には一人で対応せず、すぐ他の方の助けか、119番通報して救急車を呼んでください。心肺蘇生術を開始します。詰まったものが取れても、反応がない場合には、心肺蘇生術を始めることが必要な場合があります。

執筆者児玉 龍彦
公開日2022年2月15日
文書番号gw0174

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