胃がんで胃を大きく切除した後、食事で注意すべきこと

胃がんで胃を大きく切除した後、食事で注意すべきこと

Q.質問
胃がんの手術で胃を大きく切除して、これから家での療養になります。食事など注意すべき点を教えてください。

A.答え
近年胃がんの手術は、内視鏡やロボットを活用した手術が増えて、外から見て小さな傷で後遺症が少なく安全に行われるようになってきています。一方で、ものを食べる通り道の変化は意外に大きく、食事のとり方によっては体調に響く場合があります。

胃がんの手術で胃を大きく切除すると、胃が小さくなっているので、1回の食事量を減らす必要があります。その場合には、栄養分が不足しないよう回数を増やすことが必要です。(参照:胃がんで胃切除後、お腹が張って苦しい(小胃症状)

切除した場所が腸に近い部分(胃の出口[幽門]の付近)だと「ダンピング症候群」といって、食事で食べたものが腸に早く流れていくことで、不快な症状を引き起こすことがあります。食後すぐに気分が悪いときの症状については「胃がんで胃切除後、食後すぐ気分が悪くなる(早期ダンピング症候群)」を参照してください。食後2〜3時間経って気分が悪くなることもあり、血糖が低くなることによって症状が起こることがあります。「胃がんで胃摘出後、食後2~3時間後に気分が悪くなる(後期ダンピング症候群)」を参照してください。

また、切除した場所が胃の食道に近い部分(噴門の付近)だと、消化液を含む内容物が食道に逆流してきてムカムカしたり口の中が苦くなったりすることがあります(参照:胃がんで胃切除後、胸やけがあり、食欲が落ちている)。食事の時の姿勢に注意し、食後すぐ横にならないことが大事です。こうした症状には薬も有効で担当医とよく相談してください。

胃を切除した後の後遺症として消化や吸収が悪くなると、貧血になりやすくなったり、下痢が起こりやすくなったりします(参照:胃がんで胃切除後、下痢が増えたり、貧血になったりしている。)。

胃の手術後、ものが飲み込みにくくなることがあり、これを嚥下(えんげ)困難といいます (参照:食事が飲み込みにくい(嚥下困難))。
嚥下しやすい食事については、ものをうまく噛めない場合の食事(参照:噛む力が弱くなっているときの食事で注意すべきこと)、
うまく嚥下できない時の食事「むせるのを防ぐ「とろみ」とは?」を参照してください。

食事の一部が間違って気管に入ってしまうと誤嚥(ごえん)が起こります。(参照:誤嚥とは?)。
誤嚥での肺炎(参照:誤嚥性肺炎とは?)、窒息(参照:誤嚥(ごえん)による窒息への対応)には注意が必要です。

食事の介助のときの誤嚥による事故も発生しており、本人の食事の希望を大切にしながら必要なサポートが行われます(参照:食事のときに起きた窒息についての責任の考え方)。

執筆者児玉 龍彦
公開日2021年12月21日
文書番号gw0162


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