遺伝性乳がん卵巣がん症候群とアンジェリーナ・ジョリー:予防的手術の背景

遺伝性乳がん卵巣がん症候群とアンジェリーナ・ジョリー:予防的手術の背景

Q.質問
私は「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」の保持者だと言われています。女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、がんではないのに乳腺と卵巣の切除を受けました。私も母親が乳がんで亡くなったので、心配です。(50代女性)
A.答え
アンジェリーナ・ジョリーさんは、2013年に遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保持者と診断されました。彼女の母親は50代で乳がんで亡くなりました。そのため、ジョリーさんはがんになっていないにも関わらず、両側の乳腺と卵巣を予防的に切除しました。この話題は「アンジー・ショック」として大きく取り上げられました。

現在、日本でも遺伝子検査が一部の公的医療保険で受けられるようになりました。がんになる可能性が高い「病的バリアント」の保持者が診断できるようになってきました。「病的バリアント」の種類や患者の希望、病状によって、予防切除が推奨される場合もあります。

「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」の保持者として、どのタイプの「病的バリアント」で、どのように検査を受け、予防切除が進められるのか、家でどのように生活するかなど、専門家や周りの人と相談することが大切です。

遺伝医療やがんゲノム医療の専門家と相談することや、医師ではない遺伝カウンセラーと違った視点から相談することも有益です。ただし、がん医療の専門家といっても、必ずしも遺伝性疾患の専門家ではありません。遺伝性腫瘍に関わる遺伝医療の専門家については、「臨床遺伝専門医」などの資格があります。

執筆者児玉 龍彦
公開日2023年4月11日
文書番号gw0244

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