がん患者の在宅療養中の咳とたん:何をすればいい?

がん患者の在宅療養中の咳とたん:何をすればいい?

Q.質問
父ががんの療養中ですが、咳とたん(痰)が取れず苦しそうです。咳やたんの対応を教えてください。
A.答え
咳やたん(痰)がひどくなると、生活の質は低下します。咳き込んだり、たんが取れず息が苦しい様子は、家族や周りの人にとってもなんとかしてあげたいものです。
通常たんとなる肺の分泌物は、成人で1日60-100 mL程度あると言われ、多くは再吸収されたり、肺から食道へ運ばれ飲み込んだりしています。肺の炎症が起こると分泌物が増えるため、たんを出しやすくしたり、取り除いたりすることが必要になる場合もあります。
たんがからむと刺激となり、さらに空気が通りにくくなると咳が引き起こされます。咳は気管・気管支・肺が刺激を受けて起こります。

家での療養では、たんを出やすくし、咳を抑えるケアを行います。

本人がたんを出せなくなると、「吸引」を行うことがあります。

特に気管カニューレを使っている場合は、たんで空気の流れが悪くなった時に吸引で取り除くこともあります。

症状が落ち着いていれば、家族の方が主治医や看護師さんから教わって痰の吸引を行うこともあります。一方で、「医療的ケア」にあたり危険性があるため、本人または家族以外の方で実施できるのは医師や看護師などに限られています。近年、介護福祉士や養護教員は研修・実習・実技の経験の上、主に慢性疾患の人を対象に行えるよう、法律が変わりました。

家での咳やたんの対応には、24時間の体制が必要な場合もあり、訪問看護などの支援が重要です。医療ケア付きの介護施設や緩和ケア病棟の利用も含め考えましょう。

咳を抑えるいろいろな治療法があり、自宅での咳へのケアも大事です。

誤嚥による咳の場合には、無理に咳を抑えると危険が増す場合もあります。

喘息の咳やたんには、炎症を抑え気道を広げる治療が行われます。

喘息で咳が繰り返えす場合、ステロイドの吸入剤を処方されることがあります。

慢性の咳には吸入剤などの特別の対応が必要な場合があります。

夜に咳が多く出る場合は原因を考えます。

タバコは咳やたんを悪化させるので、禁煙できるようにサポートが必要です。

たんに血が混ざっている時は対応が必要です。

咳と一緒に血を吐いた時は、緊急の対応が必要です。

執筆者児玉 龍彦
公開日2023年11月13日
文書番号gw0298

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