たんの吸引・経管栄養:介護福祉士の医療的ケア資格とは?
Q.質問
家に来ている介護福祉士の人から、たんの吸引や経管栄養を扱うのは「医療的ケア」となり、認定された資格を持った者しかできないと言われました。「医療的ケア」の資格とは何ですか。
A.答え
たんの吸引や経管栄養は、カテーテルを体に入れたりする医療行為を伴い、体を傷つけたり、吐き気を催したりするなど、危険性を伴います。
もともと、医師法17条で、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意志をもって行うことは医師でないとやっていけないとされています。
また看護師助産師保健師法5条で、『「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者』であることが認められています。
しかし、慢性疾患や重度な障がいの方が自宅で過ごす時に、たんの吸引や経管栄養は毎日必要で、高齢化の進展もあり、ケアの人手不足は明らかになってきました。そこで、平成27年以降、介護保険法の改正により、研修・実習と、医師・看護師の指導のもとでの一定の実技研修で都道府県より認定を受けた介護福祉士の方は、定められた「医療的ケア」を行うことができるようになりました。それにより介護福祉士養成施設で、たんの吸引などの「医療的ケア」に関する教育課程も行われています。
ところが自宅でがん療養を行う方でたんの吸引が必要な場合は、がんの症状が急変する可能性があり、慎重な準備が必要です。介護福祉士の研修も、介護施設で看護師などがいるもとで吸引することを想定する場合が多く、自宅でのがんの患者さんへ対応は十分想定されていません。
がんの症状の変化で24時間対応が必要な場合もあります。訪問診療や訪問看護ステーションには24時間対応のところもありますが、事前によく相談し準備しておくことが重要です。特に呼吸に変化の想定される場合は、緩和ケア病棟、または老人に対して呼吸ケアのできる介護老人保健施設などでの療養を検討することも必要になります。下記は東京都の紹介のサイトですが、自治体で一覧表などを整備しているところが増えています。
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2023年11月13日 |
文書番号 | gw0302 |
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