退院を考えるがん患者のたんの喀出と対応策

退院を考えるがん患者のたんの喀出と対応策

Q.質問
夫が手術など終わり、病院からそろそろ退院を考えてと言われています。自宅に帰りたがっているのですが、たんがからんで咳き込むことが多く心配です。どうすればいいでしょうか。
A.答え
がんの手術も終わって退院を考え始め、ご本人も帰りたがっていらっしゃるとのことですが、病状がご心配なことと存じます。たんがからんで咳き込むことが多いと、ご本人も大変ですし、家族も見ていてご心配なことと思います。
特に手術後のがんの療養で体力が低下していると、たんがからむことで体力も消耗し、また呼吸困難が起こる可能性があると命に関わることもあり、慎重な検討が必要です。
入院中の主治医の先生、および呼吸ケアの担当の方とよく相談して、たんを自力で喀出できるかが大きな問題となります。たんを自力で出せないと吸引が必須になりますが、これを自宅で行うには退院前に、世話にあたる家族の方が主治医や看護師さんからおそわって準備する必要があります。
次の項目を参照してください。

呼吸困難が起こる可能性のある場合は、病状によりますが、24時間・365日の対応が必要になることもあります。病状が落ち着いているのか、または変動があるのかも、重要な判断材料になります。一般的には自宅でたんの吸引を行うのは、慢性疾患で病状が落ち着いている場合が想定されています。がんの療養の場合は進展に伴い急変する可能性があります。退院後の療養場所については、地域の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に置かれている「がん相談支援センター」で相談することができ、退院して医療的ケアの行える介護施設を選ぶことも選択肢になります。

術後の回復の度合いで呼吸機能の回復が期待される場合には、リハビリテーションを専門とする病院もあります。リハビリテーション病院は、病状に応じて90日や150日など、リハビリテーションの効果が期待できる期間に入院が限定される場合もありますので、よく相談してください。

がんの進展によって病状の回復が難しい場合は、手術や治療を受けた病院から緩和ケアの病院や病棟、またはホスピスやホームホスピスを選択する可能性もあります。下記項目を参照してください。

それでも家に戻ることを希望される場合は、訪問診療医や訪問看護・介護の方と家族が連携して家族の方が世話にあたり、呼吸ケアを行うやり方があります。家族の方が孤立しないように、医師の指示書をもとに、訪問看護師と医療的ケアを行うことが認められた介護福祉士が、家族・本人と連携したカンファレンスを持ち、どのような頻度で、どんな時に、誰が吸引などを行い、保険の請求を行うかなど、あらかじめ申し合わせておくことも勧められています。

訪問看護事業協会 在宅における喀痰吸引等連携ガイド 令和元年

執筆者児玉 龍彦
公開日2023年11月13日
文書番号gw0303

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