がん治療の言葉「薬物療法」「化学療法」「抗がん剤」の理解とその違い

がん治療の言葉「薬物療法」「化学療法」「抗がん剤」の理解とその違い

Q.質問
家族ががんの治療で入院することになりました。担当医から「薬物療法をメインに治療を進めます」と説明がありましたが、途中で「化学療法」とか「抗がん剤」という言葉も出てきて、「薬物療法」と違うことなのか、同じことを話しているのかわからなくなりました。全部同じ意味ですか。
A.答え
がんの薬物療法とは、抗がん剤を含むさまざまな薬剤を用いて行うがん治療法の総称です。

がんの治療法には、大きく「手術療法」「放射線療法」「薬物療法」の3つがあります。このうち薬物療法は、抗がん剤を含む種々の薬剤を用いてがんを治したり、がんの進行を抑えたり、がんに伴う症状を緩和するなどの目的で行われます。

従来、がんの薬物療法は、がん細胞の増殖を抑える働きをもつ化学物質(専門的には「細胞傷害性抗がん剤」と呼ばれます。いわゆる「抗がん剤」です)を用いて行うことが多かったため、「化学療法」と呼ばれることが多くありました。

しかし現在では、従来から用いられてきた抗がん剤(細胞傷害性抗がん剤)に加え、ホルモン剤や、新しいタイプの抗がん剤(「分子標的治療薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる薬剤)などが用いられており、がんの薬物療法の幅は以前よりずっと広がっています。

そのため、「がんの薬物療法」と言った場合には、化学療法(従来の抗がん剤を使う治療)を含め、その方の病状に合ったさまざまなお薬を使った治療を行う、という意味で捉えていただくとよいと思います。がんの薬物療法では、複数種類の薬剤を組み合わせて使うことも多くあります。

なお、外来で薬物療法を受けるための治療室に「化学療法室」といった名称が付けられていることがありますが、慣用的なもので、実際には化学療法だけを行うわけではなく、前述のようなさまざまな薬剤による治療が行われています。

執筆者渡邊 清高
公開日2023年6月5日
文書番号gw0250

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