抗がん剤治療中のしびれ:その症状と適切な対応方法

抗がん剤治療中のしびれ:その症状と適切な対応方法

Q.質問
抗がん剤治療の副作用に「しびれ」があると聞きました。どのようなしびれなのでしょうか。しびれが出てきたら、どうすればよいのでしょうか。
A.答え
手足の先がピリピリしたり、ジンジンしたりします。また、手足の感覚が鋭くなったり、鈍くなったりと、症状はさまざまです。症状に合った対策をすることが大切です。

一口に「しびれ」と言ってもさまざまな症状があります。手や足の先がジンジンしたり、ビリビリしたりすることもあれば、感覚が過敏になったり、その反対に鈍くなったりします。しびれは、がんそのものの影響で生じるだけでなく、抗がん剤治療の副作用として現れることがあります。

現在のところ、副作用のしびれに対する効果的な対処法はありません。しびれが起きたら、程度に応じて症状を和らげる工夫(後述)をして対応しますが、場合によっては抗がん剤の量を調整したり、治療を休止したりすることがあります。症状の程度や生活への影響など、不安なことがあれば担当医や看護師、薬剤師に相談しましょう。

しびれが起こると手をうまく使うことができなかったり、小さな段差などでつまずいてしまったりすることがありますが、日常生活にさまざまな工夫を取り入れることで対処することが可能です。
また、しびれは、血行をよくすることである程度和らげることが期待できます。ゆっくり入浴したり、マッサージをしたりするとよいでしょう。指先を動かすのもよいでしょう。

熱さや冷たさを感じる感覚が過敏になっていたり、鈍くなったりしているときは、熱いものや冷たいものに触れるときにやけどに気をつける必要があります。飲み物を飲むときには、取手の付いたコップなどを利用するとよいでしょう。調理の際にも、電子レンジ調理(できるだけ火を使わない方法)を取り入れるなど、安全にできる方法を工夫することも必要かもしれません。

抗がん剤使用中に、冷たさを感じる感覚が過敏になっている場合には、直接冷たいものに触れるのを避けたり、冷たいものを口にすることを注意したりする必要があります。手や足の先や、口の周りを冷たい空気にさらさないように注意がいる場合もあります。

日常生活(着衣や調理など)で難しく感じるものがあれば、ご家族や親しい人に相談して手伝ってもらったり、代替案を検討することも大切です。たとえば、家事の一部を家族に担ってもらったり、手先をうまく動かせない場合は、ボタンではなくファスナータイプの服にしたり、ペットボトルのキャップや瓶のふたはオープナーなどを利用して開けるなどです。

家の中を確認して、動線に物があったら他の場所へ移し、段差があればできるだけ段差をなくすなどの見直しもしてみましょう。

抗がん剤によるしびれは、個人差はありますが、治療開始後数週間程度経過してから現れることが多いようです。また、原因になる薬剤を休止しても数か月の単位で症状が続くことが多いです。担当医や看護師、薬剤師と相談しながら、生活のなかで工夫できる対策を検討していきましょう。

執筆者渡邊 清高
公開日2023年6月5日
文書番号gw0267

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