抗がん剤治療と吐き気:制吐薬とサポーティブケアの重要性
Q.質問
来週から抗がん剤治療が始まります。担当医の説明では、私が使う薬では、吐き気の副作用がほぼ必ず現れるそうです。すごくつらそうで、不安です。私に耐えられるでしょうか。
A.答え
適切な吐き気止め(制吐薬)を使うことで、症状を抑えたり軽減したりすることができます。
薬物療法を受けるにあたり、つらい吐き気や嘔吐が現れるのではないかとご不安ですね。
近年、がん医療において飛躍的に進歩した領域に、「支持医療(サポーティブケア)」があります。支持医療とは、がん治療に伴って起こる副作用を予防したり、副作用を早期に発見して積極的に抑えていく医療のことをいい、抗がん剤治療に伴う吐き気・嘔吐に対するケアや予防の方法についても多く研究・開発がなされ、原因や症状の出現時期に応じた対策が充実してきました。
たとえば、抗がん剤治療に伴って吐き気や嘔吐が起こることが予想される場合には、抗がん剤による一連の治療プロセスのなかに、あらかじめ吐き気や嘔吐を予防するための薬(制吐薬)を使用する段取りが組み込まれていて、吐き気の起こりやすさに応じた効果的な対応ができるようになってきています。
吐き気や嘔吐があると、食欲が低下して十分に食事をとることができず、体力を保つことができなくなったり、必要な治療の継続が難しくなったり、また、生活の質(QOL)が低下して、治療に対して後ろ向きな気持ちになったりしてしまうことがあります。症状があるときには無理や我慢をせずに、担当医や看護師、薬剤師などの医療者に相談してください。
なお、不安や緊張があまりにも強いときにも吐き気を感じることがありますが、がん治療に対して不安が大きく、そのことが影響して起こっている吐き気には、抗不安薬などを用いて、症状を緩和することも検討されます。
このように、起こりうる症状に対してさまざまな手段があることを頭の片隅においておくことで、いささかでも不安が軽減され、前向きな気持ちで治療に臨めることを願っています。
執筆者 | 渡邊 清高 |
公開日 | 2023年6月5日 |
文書番号 | gw0259 |
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