抗がん剤の種類と投与法:点滴、注射、内服について

抗がん剤の種類と投与法:点滴、注射、内服について

Q.質問
抗がん剤というと、点滴で体に入れるイメージがあるのですが、内服薬もあるのですか。注射とか、そのほかの投与経路もあるのですか。自分で選べますか。
A.答え
薬剤の種類によって異なりますが、主に点滴・注射・内服によって投与が行われます。

通常は、がんの種類や病状に合わせて、最も効果が見込め、かつ副作用のできるだけ少ない投与法が選択されます。がんの薬物療法の多くは点滴や注射によってなされます。同じ種類の薬で、たとえば内服薬と注射薬の両方があり、いずれでも効果や安全性に差がない場合には、患者さんの希望に応じて選択できることもあります。希望があれば、担当医に相談してみましょう。

(1)内服
内服とは、口から薬剤を飲むことで、飲み込んだ薬剤の成分は小腸などから吸収されて血管に入り、血液に乗って全身をめぐります。薬剤の種類によっては、食事の影響で効果が減弱したり、副作用が増強したりすることがあるため、服用のタイミングが細かく指定されているものもあります。また、他の薬や特定の飲食物と一緒に内服してしまうと、十分な効果が得られなかったり、副作用が増強したりする薬剤もあります。指示された用法・用量、注意点を守って正しく服用することがとても大切です。細胞傷害性抗がん剤・ホルモン剤・分子標的治療薬の一部に内服薬のものがあります。

内服薬は、通院して受ける注射や点滴と違い、自宅にいながら治療を続けられるので、手軽である一方、飲み忘れや副作用に対する対処方法などを自分で把握しておく必要があるなど、一層の自己管理が求められる投与法といえます。

(2)注射・点滴
内服と並んで一般的な投与の方法として、静脈への注射(静脈注射)があります。点滴は注射の一種で、1回量の薬を注射器で一度に投与する方法を「注射」、しばらくの間静脈に注射針を留置して、一定の時間をかけて薬剤を投与する方法を「点滴」と呼んでいます。多くの場合、前腕や肘の内側の静脈などから薬剤を投与しますが、より太い静脈(足の付け根や頸部[くび]など)から投与することもあります。細胞傷害性抗がん剤・ホルモン剤・分子標的治療薬、そして免疫チェックポイント阻害薬は静脈を介して投与がなされます。

(3)その他の投与経路
その他にも、皮下注射(皮膚の浅い部位への注射)や筋肉注射、腫瘍内投与(腫瘍に直接薬剤を注入する方法)などがあり、がんの種類や場所に応じて、十分な効果と安全性が期待される投与方法が選択されます。

執筆者渡邊 清高
公開日2023年6月5日
文書番号gw0253

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