手術を避けたいあなたへ:薬物療法だけでがんを治すことは可能か
Q.質問
できれば手術や放射線治療は避けて、薬だけで治療をしたいのですが、手術をしなくてもがんの完治を目指せるでしょうか。
A.答え
多くのがんでは、薬物療法に手術や放射線療法を組み合わせる「集学的治療」が行われています。
手術せずに薬物療法だけで治癒を望めるかについては、がんの種類や進行度によるため、一概に言うことはできませんが、多くのがんでは、薬物療法のみで治癒を目指すというよりかは、より高い治療効果を得るために、手術や放射線などの他の治療法と組み合わせる「集学的治療(しゅうがくてきちりょう)」が行われています。
たとえば一例ですが、薬物療法でがんを手術できるサイズにまで縮小させて、その後に手術でがんを取り除き、術後には再発を防ぐための放射線療法を行う……といったように、それぞれの治療法の特徴を活かして、治療の効果を高める工夫がなされています。
手術をせずに薬物療法のみで済ませたいと考える理由はどのようなことでしょうか。たとえば、手術で体に大きな創(きず)ができることを避けたいとか、術後の回復に時間がかかるのを避けたいといった理由であれば、もしかすると、あなたがもっているイメージと現在の手術療法には大きな差があるかもしれません。
というのは、現在はがんの治療においては、体に大きな創を作らず、小さな創から内視鏡を挿入して行う「鏡視下手術」や、手術支援ロボットを用いて行う「ロボット支援下手術」が行われるようになるなど、以前に比べて手術創が小さく、体への負担が格段に少ない、術後の生活の質(QOL)を重視した治療が多く行われるようになってきているためです。
ほかにも理由があるかもしれません。手術を避けて薬物療法のみにしたいという意向と、その理由を担当医に伝えることで、担当医は代替可能な治療を検討したり、手術を避けた場合の経過の見通しなどについて説明してくれると思います。遠慮せずあなたの希望を担当医に伝えて相談し、ご自身にとってどのような治療がベストなのかを、一緒に考えていけるとよいと思います。
執筆者 | 渡邊 清高 |
公開日 | 2023年6月5日 |
文書番号 | gw0254 |
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