肺がん遺伝子変異の種類と薬物治療:KRAS, ALK, ROS1, BRAFなど
Q.質問
EGFR遺伝子変異の検査は陰性だったのですが、他にも効果的な治療薬がある遺伝子変異はありますか?
A.答え
EGFR遺伝子変異は日本人の肺がん患者のうち、30-50%に見られますが、陰性だった場合でも、他に効果的な治療薬が使える遺伝子変異がいくつかあります。
例えば、肺がん患者の3-5%に見られるALK遺伝子変異があります。また、ROS1遺伝子、BRAF遺伝子、RET遺伝子、MET遺伝子、NTRK遺伝子の変異に対しても、それぞれ効果がある阻害剤があることが知られています。多くの場合、これらの遺伝子変異を調べる検査は、肺がんの診断と同時期に行われるようになっています。すでに検査を受けている場合がありますので、結果について確認しておくとよいでしょう。一方、RAS遺伝子変異は治療が難しいとされ、特に肺腺がんでは、KRAS変異が10%以上に見られますが、最近はG12Cというタイプの変異に対して効果がある薬が開発されています。
これらの遺伝子変異の検出の有無や、免疫チェックポイント阻害剤の効果を予測するための検査などを参考に、従来の抗がん剤などを組み合わせて治療が行われます。
がんの遺伝子検査やその結果を踏まえた治療法は進化し、検査や治療に公的医療保険が適用できる場合も増えています。まずは主治医と相談し、治療にどのような方法が最適であるか確認しておきましょう。必要に応じて、セカンドオピニオンを受けたり、地域のがん相談支援センターに相談することもできます。
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2023年10月6日 |
文書番号 | gw0286 |
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