分子標的薬の選択に向けて:進行肺がんの生検(組織検査)

分子標的薬の選択に向けて:進行肺がんの生検(組織検査)

Q.質問
70歳の父が進行した肺がんの治療前に、生検(組織検査)を受けることを勧められました。これはどのような検査でしょうか?
A.答え
進行した肺がんで手術が難しい場合、遺伝子の変異の有無を調べて、遺伝子変異に応じた分子標的薬を選択して治療を行うことが一般的です。さらに、現在の治療法では効果がないがんに対する研究や治験も進められています。がんの遺伝子検査は、手術で取得した組織や生検(バイオプシー)で採取した小さな組織を使う方法、または採血で得られた血液を用いて、血液中の遺伝子のかけらを増幅する方法(リキッドバイオプシー)で行われます。

肺がんの生検の方法には、気管支鏡を使う方法、皮膚から針で検体を採取する方法(経皮針生検)、胸腔鏡による手術があります。気管支鏡は、口や鼻から内視鏡を気管支に挿入し、時には超音波を使って組織を取ります。胸腔鏡は、全身麻酔をかけて胸の皮膚を小さく切り、内視鏡を挿入して肺の表面を観察しながらがんが疑われる組織の一部を採取します。

経皮針生検は、局所麻酔を使って超音波、X線、CT画像を参考にして、皮膚から針でがんが疑われる部分に刺して組織の一部を取ります。生検の合併症には、出血、気胸、血痰、咳、感染、呼吸困難、麻酔後のふらつきなどがあります。特に血液の止血や凝固を阻害する薬を使用している場合には、検査前後に一時的に薬を中止したり別の薬に切り替えたりすることがあります。

血液の検査(リキッドバイオプシー)の他に、痰や胸水中にがん細胞が混じっていることがあるため、痰や胸水を使ってがんの遺伝子検査が可能な場合があります。肺がんの検査の予定や方針について、よく主治医と相談しましょう。地域のがん相談支援センターも専門の医療機関に関する相談に乗ってくれます。

執筆者児玉 龍彦
公開日2023年10月6日
文書番号gw0288

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