肺がん患者の呼吸サポート:在宅酸素療法の導入方法と注意点

肺がん患者の呼吸サポート:在宅酸素療法の導入方法と注意点

Q.質問
肺がんと肺がん治療の後遺症による息切れがひどくなり、酸素飽和度が低いと言われ、在宅酸素療法が勧められました。在宅酸素療法はどのようなものでしょうか?
A.答え
肺がんが進行したり、手術療法や放射線療法、薬物療法の後遺症などで呼吸の機能が低下すると、血液中の酸素濃度が低下し、息切れや息苦しさなどの呼吸に関する症状が起こります。他にも、頭痛やイライラ、注意力や記憶力の低下などの症状が出ることもあります。

酸素飽和度は指先に光を当てて測定できるセンサー、パルスオキシメーターを使って、おおまかに測定できます。正確には、医療機関で、動脈血を採血して測定します。公的医療保険の適用基準は動脈血酸素分圧が、55mmHg以下(酸素飽和度が 88%以下)です。また動脈血酸素分圧が、55mmHg以上でも、60mmHg以下であれば、睡眠時や運動時に低酸素血症になる場合なら適用になります。酸素吸入の時間や量については、主治医と相談して決め、自己判断で変えないことが重要です。


在宅酸素療法は、酸素供給装置(酸素濃縮器や液体酸素タンク)を家に設置し、チューブを通じて酸素を吸入します。鼻カニューレと呼ばれる道具で鼻の下に固定して使用します。酸素濃縮器は大きさが小型冷蔵庫ほどの機械で、空気中の酸素を濃縮して治療に使います。

夜間も酸素濃度が下がることがあるので、吸入は大切です。外出時には持ち運びやすいように酸素ボンベや小型の酸素濃縮器を使用します。設置、緊急時対応、メンテナンスは在宅酸素事業者が行い、公的医療保険が適用されます。

火気の取り扱いに注意が必要です。周囲2m以内にタバコやライター、ガスコンロ、ストーブなど火気を近づけないでください。患者さんも周囲の人も禁煙が必要です。主治医や看護師、家族と火の扱いについて相談することが大切です。

執筆者児玉 龍彦
公開日2023年10月6日
文書番号gw0274

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