「パフォーマンスステータス」とは?肺がん患者の日常生活能力を理解する
Q.質問
「パフォーマンスステータス」とは何ですか?
A.答え
パフォーマンスステータスは、患者さんの元気さの指標とも言えるものです。肺がんが進行すると、呼吸困難や咳、痰、痛み、全身の衰弱、転移による脳や骨の問題などが起こり、日常生活が困難になることがあります。治療によっても症状が悪化することがあるため、この指標を用いて治療の方針を考える参考にしています。
アメリカの学会で提唱されたパフォーマンスステータスは、0から4の5段階で評価されます。スコアが高くなるほど、選択できる治療やケアが限定されます。ステータスが3や4になると、がんの治療効果が限られるとともに、治療に伴う合併症が発生する危険性が大きくなります。本人の希望をもとに医療者と治療とケアの目的を共有したうえで、体力の温存も重視し、最適な方針が検討されます。家族や看護・介護に関わる職種が治療面だけでなく、生活面や介護の視点から今後の方針を話し合う機会を持つことが重要です。
<パフォーマンスステータスのスコアの目安>
0. まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える
1. 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。例:軽い家事、事務作業
2. 歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3. 限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4. まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。
(出典:Common Toxicity Criteria, Version2.0 Publish Date April 30, 1999 http://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/docs/ctcv20_4-30-992.pdf JCOGホームページ http://www.jcog.jp/ )
治療法の選択については、日本肺癌学会の患者向けガイドラインが参考になります。
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2023年10月6日 |
文書番号 | gw0273 |
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