KRAS変異を持つ肺がん:治療の最新情報とガイド
Q.質問
進行した肺がんにKRASの薬が効くかもしれないと聞きました。具体的にはどんな薬で、どのような患者さんに効果があるのですか?
A.答え
KRAS変異とは?
KRASはがん細胞の中の特定の遺伝子の名前です。この遺伝子が変異してしまうと、一般的な薬(例:抗体やキナーゼ阻害薬)が効きにくくなります。
どんな薬が開発されているのか?
変異したKRASをターゲットにする新しい薬が開発されています。これにより、これまで治療が難しかったある種の肺がんの進行を止めることが可能となりました。
どの患者さんにこの新薬は有効?
KRASに遺伝子変異のある肺がんの中でも、特定の「G12C型」を持つ患者さんに対してのみ効果が期待できます。日本の肺がん患者さんの約3-5%がこの変異を持っているとされています。
この薬の保険適用と医療費について
新薬は高価ですが、「非小細胞肺がん」の診断を受けて、従来の治療薬の効果がなく、検査でKRAS G12C型の変異が確認された患者さんには公的医療保険の適応となります。高額な医療費に関しては「高額療養費制度」を利用することで、上限額を超えた部分の負担を軽減することが可能です。
他のがんとKRAS変異
KRASの変異は、肺がんだけでなく、膵臓がんや大腸がんなどでも見られます。ただし、これらのがんではG12C型の頻度は少ないため、新薬の効果も限定的です。
最後に
治療方法や薬の選択に関しては、主治医との相談が不可欠です。具体的な情報や最新の研究結果については、専門的な情報源を参照することをおすすめします。
・参考情報:日本肺癌学会 > 各種検査の手引
執筆者 | 児玉 龍彦 |
公開日 | 2023年10月18日 |
文書番号 | gw0291 |
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